2026.10.31 症例

上の奥歯、3回目の根管治療。触られていない根管が1本残っていました

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8年前に抜髄し、4年前に一度やり直している歯です。それでも症状が出て、3回目の治療のために来院されました。CTを撮ると、処置されていたのは3根管。上顎大臼歯でいちばん問題になる4本目に、手がついていませんでした。

来院されたときの状態

40代の女性。主訴は「左上の、奥から2番目の歯がチクチク痛い」。定期検診に行った日から痛み出し、何もしていないときにもうっすら痛む。炭酸水を含んだときのような感じ、という表現でした。

この歯は2018年に抜髄(8年前)、2021年に再治療(4年前)。補綴はセラミッククラウンです。

「3回目なので、今度はちゃんとしたい」。前の2回はラバーダムもマイクロスコープも使っていなかったことをご本人が把握しておられ、根管治療専門で調べて来院されました。

初診時の所見です。

  • 冷(−)、圧(−)
  • サイナストラクトなし、排膿なし、動揺なし
  • 歯周ポケット 2〜4mm

外から取れる所見はほとんど出ていません。症状だけがある状態でした。

CTで分かったこと

治療前と治療後 約4か月のCT。治療前は頬側根の根尖部に透過像があり、約4か月後は縮小している
治療前は、頬側根の根尖部の透過像と、上顎洞底の皮質骨の途切れが分かります。CT(矢状断)のため、撮影時期によって断面の向きは完全には一致していません。
画像を押すと大きく表示できます。
  • 処置されている根管は3本
  • 頬側2根とも根尖部に透過像
  • 上顎洞粘膜の肥厚あり。原因はこの歯と考えられる
  • 明らかな亀裂の所見は見られない

そのうえで、MB2(近心頬側第二根管)が未処置のまま残っている可能性が高いと判断しました。残り3本をどれだけ触っても、未処置の根管があれば感染源はそのまま残ります。

MB2は入口がデンティンシェルフに隠れていることが多く、肉眼では存在そのものに気づけません。前の治療が雑だったという話ではなく、見る道具がなければ手のつけようがない場所だ、というだけのことです。

選んだ方針

まず、根管内からの再治療。ラバーダムで隔離し、マイクロスコープでMB2を探します。

まず中から(再根管治療)→治らなければ外科(歯根端切除術)

それで治らなければ、歯根端切除術という手段が残っています。抜歯の話は、この時点ではしていません。

患者さんには、症状の原因はおそらく未処置の根管にあること、亀裂の所見は現時点で無いこと、上顎洞の症状もこの歯が原因の可能性があることをお伝えしました。

治療の経過

2026年6月 初診。CT撮影とカウンセリング
6月末 再根管治療(ラバーダム/マイクロスコープ)、根管充填、ファイバーコア
7月初旬 プロビジョナルをセット。3か月後にCTで確認することを決める
10月31日 治療後 約4か月後のCT撮影

治療後 約4か月

治療前と治療後 約4か月のデンタルX線
デンタルX線。画像を押すと大きく表示できます。

根尖部の透過像は縮小し、上顎洞底の皮質骨の線も戻ってきました。症状もありません。ここで最終補綴に進むことを決めています。

※ 4か月は治癒を判定するには短い期間です。この時点では「良い方向に向かっている」までで、1年と追う必要があります。

この症例について

上顎大臼歯の再治療で、頬側根に病変が残っている。この組み合わせのとき、最初に疑うのはMB2です。

そして順番があります。外科に行く前に、根管内からできることが残っていないか。残っていれば、そちらが先です。今回は残っていました。

根管内からの再治療はマイクロエンド アドバンス(Lv.3)で、根管内からでは治らない病変に対する外科は外科的歯内療法 ベーシック(Lv.3)で扱っています。

このページは歯科医師向けの症例記録です。特定の医療機関の受診や治療を勧めるものではありません。
掲載について、患者さんご本人の同意を得ています。

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